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【特別寄稿:一考・教養主義】


元財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会副会長
阪田貞宜

さかた・さだよし 1919 年生まれ。1943年東北帝国大学卒業後、国立国会図書館、アジア経済研究所を経て、1986 年(財)国際ビジネスコミュニケーション協会の設立に参加。理事長、副会長として「TOEIC」の普及に携わり、2008 年退職。
主な著書に『英語初級者のための自学自習レッスン』ぎょうせい、2009 年など。今年10 月にはNPO「元気な120 才を創る会」が選ぶ2010 年「ヘルシーエイジングパーソン」に選ばれている。

第4題 情報―パピルスから電子へ

情報技術と応用

 本稿のテーマである「情報」では、日常生活に密着した実用的な科学技術が課題となります。
 しかも情報技術(IT)は今でも急速に進展しつづけており、近い将来わたくしたちの日常生活に大変革をもたらしそうな勢いです。

 具体的にはソフトウェアのサービス化、書籍の電子化、クラウド・コンピューティングの普及などが挙げられます。
 情報電子化のこのような動向に対し、われわれは教養として何を知り、またどう対応すべきなのでしょうか。

 私はこのような電子化の進展に遅れないためには、情報の基礎になっている理論や機能の概略を知ることがまず必要であると思います。

コンピューターの基礎理論と機能

 本稿ではコンピューターの基礎理論として「二進法」と「集合論」とを採り上げます。いずれもすでに常識になっていると思いますが、小中学校で教えるようになったのは最近のことです。

・二進法(binary)
 二進法は「0」と「1」とで数値を表す非連続な数列で「デジタル」(digital)といい、数値が連続して変化する「アナログ」(analog)に対応します。
 通信ではデジタル方式が効率がよく、広い範囲に応用できるので、情報通信では専らデジタル方式が用いられます。

・集合論(set theory)
 集合論は概念の上位下位、相互関係など分類に関する数学理論で情報の検索に用いられます。
 コンピューターは本来表計算など「数理演算」を扱いますが、集合の理論によって諸概念の論理的関連を扱う「論理演算」を行うようになりました。

 以上の理論に基づいてコンピューターは次の四つの機能を持ちます。
(1)表計算
 本来の機能である数理演算を行います。
(2)ワープロ
 編集、記録、印字など文書を作成します。
(3)データ・ベース
 文のほか音声、映像、動画を蓄積します。
(4)インターネット
 情報の通信、検索を扱います。
 近年光ファイバーなど通信技術の発展によって高速かつ大容量の通信(ブロードバンド)が実現しました。
 その結果インターネットの向上はとくに著しく、革新的なプロダクトが次々に生れています。

書籍の電子化

 ブロードバンド(高速大容量通信)によってインターネットには文字のほかに音声、映像、動画がインプットされ、書籍もネットの端末で読み、聞き、視ることができるようになりました。

 また携帯電話もブロードバンドによって画像、動画に機能を拡げました。このようにして電子書籍はインターネットのブロードバンド化の一環として生れました。
 音声、映像、動画を扱える電子書籍は、書写、印刷によって制作される旧来の書物に取って代わるのではないかと言われています。大げさに言えば、電子化によってパピルスから電子へとメディアの革命が起こるのでしょうか。

 電子書籍はネットの端末を使うので製作費用が安くなりますが、この点は別として使用する観点からその特長を挙げてみましょう。

・書籍の電子化は容量の大きい辞典、新聞、全集などから始まっています。大型書籍のポータブル化はますます進んでいくでしょう。

・音声、動画を含んだコミックは電子化に適した書籍として普及していくでしょう。

・手引書、ハウツー物などのように問題、解説、音声、画像など部門別に構成されるものは、部門を選別して重点的に使うことができる電子書籍に適しています。

・教科書の電子化によって大規模かつ応答可能な講義が教育分野で行われるでしょう。

 以上電子書籍の使用上のプラスの特長を挙げましたが、書籍の電子化はまだこれからのプロジェクトであり、現在は使用する環境や条件を詳細に検討すべき段階です。

「クラウド」と情報サービスの将来

 ブロードバンドによって多種多様なサービスが生まれつつありますが、現在では未知の領域が大きく広がっています。このような現象を捉えて「クラウド」(雲)と呼んでいます。

 具体的にどんなサービスが生まれつつあるのか、その全容はクラウドにかくれて今は見えません。ただインターネットにクラウド現象が生まれた要因には次のような動向があると考えられます。

・ソフトウェアのサービス化
 光ファイバーなど通信容量の拡大に伴い、多種多様なソフトウェアがインターネットから直接サービスされます。個人用のパソコンに内蔵されたソフトウェアもインターネットに移されるでしょう。

・端末の多様化
 端末はインターネットに接続されれば種類は問いません。ソフトウェアを手放したパソコンには、インターネットの端末としての機能が残ります。またiPadやiPhoneのような新しいパネル方式の端末も生まれました。

・データの大量な集積
 データは電子化によって大規模に集積され、即時的かつ多様な情報の検索が可能になります。
 データ・ベースは世界で五つぐらいのグループになると言われ、グローバルな情報検索システムの集約化が進みます。

・コンピューターの大規模化
 情報の検索(論理演算)に使用する大規模なコンピューター・システムは、本来の機能である数理演算を他機関の利用に供することができます。

 しかし成長するクラウドの将来には機密保持に関する問題があります。
 例えばクラウドによって個人、企業などの情報が少数のサービスグループに集積されれば、社会インフラとしての安全保障が問題となります。

 私は貨幣が銀行のような信用機関によって保管されているように、情報を安全管理する信用システムが将来必要になると思います。
 私たちはクラウド・コンピューティングの長所も短所もよく見極めて、この巨大なデータ・ベースを安全に活用する基盤を整備していく必要があります。


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