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学校経営大賞第4回/相撲道精神が学校を光らせる

ENTRY No.5 2010年10月号

東京都武蔵村山市立第十小学校統括校長 榊 尚信

相撲道にかける私の学校経営

私は大自然に囲まれた北海道の大地で子ども時代を過ごした。当時は今のように物は豊かではないし、今のように何もかも便利ではない。しかし、間違いなく今の子どもたちより、心の面では恵まれていたように思える。それは、年齢を問わないたくさんの数の仲間と真っ暗、真っ黒になるまで遊び、かかわりのなかで人としてのあり方を深く学んでいたと感じるからである。家遊びが多い、ゲーム世代の子どもたちに昭和時代の土の匂いを与えたい、これが本校で相撲道を学ばせようとした大きなきっかけである。東京都「日本の伝統・文化理解教育推進モデル地域」として本校が指定されたことが夢の実現を早めた。自分が好き、武蔵村山市が好き、日本が好きな子どもに育ってほしい。そして「礼に始まり、礼に終わる」相手を尊重し、力一杯友達の重みを感じるなかで人間として必要な礼節を身に付けてほしいと願ってのことである。未来の日本は子どもたちが担っていく。

校長として取り組んだこと

大相撲見学
最初のうちはおそらく「相撲って古臭い」と思う子どもが多いだろうと予想していたが、まさにその通りであった。事前のアンケートでも、相撲は興味がないと答える子どもが多かった。そこで、6年生の社会科見学で大相撲見学を計画した。大きな体同士のバチンバチンと迫力あるぶつかり合いを目にし、徐々に子どもたちは気持ちが高ぶっていった。北桜という力士が大きな手にめいっぱいの塩を持ち、高く高く土俵にまいた。それまで、名前も知らなかった力士が一瞬にして子どもたちの人気者となった。「北桜、北桜。」大声で子どもたちが叫んだ。大相撲の末、北桜の勝ち。子ども時代の憧れほど、興味を湧き立たせるものはない。
相撲体験授業
都立高校相撲部の先生に、簡易相撲マットの上で、まず5年生が、四股、腰割等、基本から指導していただいた。始めた頃は押し相撲をしても、ダンスをしているような感じで体のどこをどのように力を入れるのがよいのか、難しい様子であった。しかし、最初の印象とは大きく違い、多くの子どもたちが相撲はとても楽しいと感じていた。実体験の乏しい子どもたちにとって相撲は新鮮なスポーツとなっていた。
本物を味わう
「もしかして面白いかも……」と思えるには、本物に触れることが一番である。
①土の土俵
②相撲の体育授業
③相撲大会
という三つの本物に取り組んだ。
①土俵作り:校庭に土俵を作ることで、子どもたちは本気になって土に触れ、友達に触れるという経験ができる。地域の方々の協力も得ながら、土俵作りに取り組んだ子どもたちからは喜びの声や、自分たちで作り上げたのだという達成感に満ちた言葉が多く聞かれた。土俵作りに携わるというのは本当に稀な経験である。裸足になることで、足の指で土を掴む感触は相撲ならではのことである。土俵作りを手伝った子どもたちを「どすこい隊」と命名し、武蔵村山市児童功労賞としても表彰された。
②全校での相撲授業:土俵が出来れば、いよいよ全校での体育としての相撲授業である。「体つくりの運動」領域で指導計画を作成した。24学級およそ800名の児童全員が力一杯相撲を取る計画を立てた。
また、簡易廻しをつけることで気分が盛り上がった。手を取り合うようなダンスから、廻しを引きあう力のこもった力相撲が生まれた。相撲経験を積むことで、子どもたちの相撲は相撲らしくなった。子どもの成長は素晴らしいとつくづく感じた。
5年生の総合的学習の時間では「相撲調べと発表」に取り組ませた。相撲の歴史や決まり手等、実演を通して発表していた。この学習がますます興味を深めていったといえる。
③地域相撲大会:地域を巻き込み、相撲大会を開催することとした。「第1回村山っ子相撲大会」と名付けた。「始めに礼、終わりに礼。相手を思いやる気持ちをもって」という副題を付けた。市内の小学校と学区の中学生及び横田基地の小学生で総勢141名の大盛況の大会となった。すべての取組に力が入り、勝負が決まった後は大きな拍手。勝者が敗者を助け起こしたり、勝っても負けても両者きちんと礼をしていた。負けて涙を流す友達を励ます感動的な場面も数多くあった。相手を尊重するという相撲道精神を子どもたちは見事に身に付けていた。周りで見入る保護者、地域の方々、教育関係者、誰もが笑顔で真剣に戦う子どもを見つめている。私はこの時、この相撲を始めたきっかけ、昭和時代の土の匂いを感じることができた。 

本校の特色ある取組みと成果

学校は勉強するところである。本校の特色である相撲道を学ぶことで次のような成果があった。
(1)相撲で「礼儀正しさ」「我慢強さ」「思いやり」を学ぶことが土台となり、学校や家庭での学習習慣定着に好影響を与えている。
(2)荒々しい言葉遣いが極端に少なくなり、励まし合う仲間集団ができている。
(3)相撲の日常化が進んでいる。相撲クラブを新設し、地域相撲指導者(元大相撲十両)の下、活動している。また、「すいようびはすもうの日」を合い言葉に、学校組織として遊びの中に相撲を取り入れている。
私は校長職の魅力をつくづく感じている。それは自分が憧れて就いた教育という仕事で校長の教育観、指導観を組織として共有できて、そこに子どもたちの笑顔が生まれるからである。今後も学校を光らせるために、そして、子どもたちの未来のために何が必要なのか、私は経営感覚を磨き、教育道を極めていきたいと強く考えている。

(学校規模)
児童数786人/教職員数30人(平成22年9月1日現在)

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