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学校経営大賞第4回/「読解科」による9年間の学び

ENTRY No.4 2010年8月号

前京都市立高倉小学校長 岩渕惠子

「読解科」をつくる

高倉小学校での3年間は、京都市の進める「小中一貫教育とコミュニティ・スクールの運営」という新しい試みへの挑戦であった。「学校がしたいこと」は、地域に「高倉モデル」として発信していった。まさに、未来に輝く小中一貫教育の創造である。
平成17年度より、3年間をかけて創設した「読解科」。今日、子どもたちにつけたい力「読解力・記述力」を様々なテキストを用いて、言語活動により高め、言語能力を育成する新教科である。これを、新たな学校創造の柱の一つに掲げ、小・中9年間の「読解科」カリキュラムを作成していった。
・多様なテキストを用いて、実践を重ねることにより基礎的・基本的な知識や技能を確実に習得し、活用し、さらに探究する力を育成する。
・1年生から9年生まで、週1時間の学習、読解力・記述力を「確かな学力」の根底と捉え「わかる・楽しい授業づくり」をねらいとして、授業づくりに取り組んだ。
小中一貫教育では、小・中の文化の差・垣根の高さを越えてといわれるが、そんなに容易ではない。まず小・中が互いに知り合い、理解し合うことである。小中一貫教育「読解科」をつくるためには、3校の教員が月1回は必ず集まる。会議や研修を重ねて、「読解科とは?」という問題意識を持ち、育てたい子どもの姿を明確にし、授業づくりを行う。
公立の小・中学校で、質の高い学力をつけたいというねらいから生まれたことである。
学習の基本要素は、次の4点である。
①課題設定力:学習課題を見つけ、課題解決への見通しをもち、学習計画を立てる力
②情報活用力:情報を収集したり選択したりして、自分の考えを構築していく力
③記述力:自分の考えを構築し、相手意識をもって様々な方法で明確に表現する力
④コミュニケーション力:相手の考えを理解し、交流し合い自分の考えを深めていける力
平成23年度から実施する新学習指導要領では、各教科等において、記録・要約・説明・論述などの表現様式による、論文力・プレゼンテーション力が必要とされている。
「読解科」の新設は、様々な教科等を横断して、思考力・判断力・表現力を育てる授業をつくりあげるのである。学習形態は、必ず2人組や小集団の活動形態をとる。
新教科は、子ども一人ひとりの豊かな発想を大切にした問題解決を目指す活動を展開し、子ども自ら答を創り上げていく取組みである。

高倉教育のシステム化

学校組織を開き、また、教職員の能力をどう生かすのかが学校経営の鍵となる。校長の使命(ミッション)や方向性(コンパス)が示されて、はじめて課題の実現が可能となる。
小中一貫教育、コミュニティ・スクールなどの取組みの柱は、高倉教育として構造化し、関連づけシステム化し、組織の中で各教職員の個性が発揮できるようにする。
教師は、常に教壇で勝負すること。度重なる授業公開を行い、1時間1時間の授業を大切にする。校長は、できるだけ教室に入り、授業について伝え続けるのである。
新しい取組みへの果敢な挑戦。教員、自ら体験することで、思考力・判断力・分析力・洞察力といった問題解決力は身につく。それが、子どもたち一人ひとりに限りなく寄り添い、興味・アプローチの違いを知り、個に応じた指導方法を見きわめる確かな指導力となる。「授業のスペシャリスト」を目指すのである。
配慮すべき児童については、授業のみならず行事の度毎に全教職員で指導を考える。そうすることで、主体的に指導ができるようになっていった。子どもはいつも主人公である。

新たな発想での学校づくり

「読解科」によって、問題意識をもって追究し、自らの考えを表現する力を培った子どもたちの学びには素晴らしいものがある。
進んでグループ学習をし、自分たちで司会をしながら学習をすすめる。課題を設定し、課題を解決するためにたくさんの情報を集める。さらには、自分の考えを記述しまとめ、一人ひとりが自分の表現を創り上げていく。コミュニケーションするプロセスを経て、思考力・判断力・表現力を高めていく「自立した一人の人間として生きる力」を育てる原点ともいえる学習の姿をみることができた。
高倉教育が目指すものは、授業力が高まり、地域の参画により学校力が高まり、やがては、地域ぐるみで人間力を高めるという新しい義務教育・高倉教育の創造である。
教育研究の特色としては、
①「OGT小中一貫教育」( 5・4制)
6年生が京都御池創生館で学ぶ
②京都大学と連携し授業研究・探究
田中耕治研究室と連携する
③「スマイル21プラン委員会」
学校運営協議会を設置したコミュニティ・スクールとしての機能
などである。
この地域は、学校統合により2小1中となったことを契機として、義務教育の学びと育ちを連続した9年間と捉えた小中一貫教育特区としての教育を進めてきた。時代のニーズに応える教育でもあり、番組小学校にはじまる地域の学校としての伝統の継承である。
この構想は、「スマイル21プラン委員会」が目指す子どもたちの学びや育ちの取組みとも重なる。目標は次の3点である。
・子どもが学校を誇りに思える
・子ども自身が学びと育ちに自信がもてる
・学び・生活・遊びがプログラムできる
活動内容と組織は次の三つの柱である。
○学びスマイル 地域教材の発掘(地域の達人マップの作成)など
○探究スマイル 大学との協働(学力向上プラン)、高倉文化講座(伝承文化を学ぶ)
○活動・評価スマイル 学びと育ちの評価(放課後学びプラン、部活動)など
地域の方と、教職員がともに「知恵と汗と結果を出し合う」協働体制づくりであり、それぞれの組織の活性化にもつながっていく。
文科省の第三者評価では、こうした地域と結ばれた取組みの素晴らしさを、大きく評価していただいた。
今後とも、子どもたちが創り上げる高倉文化でグローバルコミュニケーションができるように、はばたき育つことを願っている。土壌を整え、芽が吹き、豊かな果実が実る新しい義務教育の創造である。

(学校規模)
児童数564人/教職員数40人(平成22年4月1日現在)

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